「胃ろう」:天使の選択

左近法務事務所

2010年10月30日 17:42



この頃の新聞に「胃ろう」をテーマにした
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記事が掲載されていた。

胃瘻(いろう)とは、主に経口摂取困難な患者に対し
人為的に皮膚と胃に瘻孔作成、チューブ留置し
水分・栄養を流入させるための処置である。

病気により感染症を起こしている場合や、
痩せすぎ等の場合には手術に留意が必要。

と記されているが
もともと胃ろうは、摂食障害のある子どもたちの
ために開発された技術だったが
高齢者にも応用されるようになった。

私の母の場合は
長くとある病院でお世話になっていたが
ある時期から自分で食事をすることが
できなくなってしまった。

食事を取るための箸が握れなくなり
食事のたびごとに看護師さんの介助を
してもらわないと食べられなくなって
しまったのである。

一人で食べられなくなってから
まもなく主治医に私は呼ばれた。

「お母さんの両腕は治る見込みがないので
胃ろうにしましょう」と言われた。

私は「胃ろう」の意味が判らず
思わず問い直しした。

その時の医者の言葉は
こうであった。

「胃から食べ物を摂取するんですよ。
具合がいいですよ」と顔に笑みを浮かべながら
答えた。

食べ物を口以外から
取ることなど想像していなかった私にとって
この言葉は驚愕であった。

「具合がいい」とは
自ら、その若い医者が体験したとでもいうのか。
誰にとって具合がいいのか。

「暫く考えさせて欲しい」と伝え
私はその場を去った。

悩んでも答えは出ず
母が世話になっている婦長に
その顛末を相談した。

婦長は
「リハビリして箸が持てるようにしましょう」
と言ってくれた。

母はその後、リハビリの甲斐があって
漸く箸を自分で持てるようになった。

それから数年が経ち
今では全くの寝たきりになってしまった
母であるが
その時の婦長さんには心底
感謝している。

人間、生きている限り
努力すれば
諦めなければ
必ず道は開ける
と私は信じている。



「本気」

本気ですれば大抵のことができる。

(中文:略)

本気ですれば誰かが助けてくれる。

(安楽寺の寄せ書きより)