2011年05月24日

「神の手」による捏造

「神の手」による捏造

今から三十年前のことである。

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宮城県岩出山町の座散乱木遺跡から
四万年ないし五万年前の地層から
住居跡が発見された。

この当時、日本考古学の中では
三万年以上前に人類と呼べるものが
日本に存在したか否か論争になっていた
矢先でもあった。

「いた筈だ」と言う説と
「いなかった」と言う説が
激しく分かれる中にあって
アマチュアの発掘家が石器を発見し
「いた筈だ」説派に大きな勝利をもたらした。
その後も彼は次々と新発見をし
日本の旧石器時代は
十万年前→二十万年前
そして五十万年前まで遡ってしまった。

彼はこうした功績により
「神の手」を持つ男と称されてしまった。

しかし一方で、当時
「怪しい」と疑念を持つ研究者もいたが
物証があるからと封じ込まれてしまった。

最終的には多くの皆さんがご存知の通り
「ねつ造」であった。
歴史の教科書は何度も塗り替えられ
かつて多くの考古学ファンが押し寄せた
座散乱木遺跡は、今は見る影もないほど
荒れ果てている。

振り返れば、この事件。
アマチュアの一介の考古学者一人の
単独ねつ造事件として、幕が
閉じられてしまったが
これを「よいしょ」した人物が
大勢いたように思える。
「よいしょ」されたみこしは
不都合が生じ、一気に
おとされてしまった。

悲しいかな
アマチュアの考古学者が
権威体質がはびこる学会において
認められることは
現実的には容易なことでない。

彼の手によって発見された石器の多くは
出土状況を証明する写真撮影すら
されていない。
発掘現場には通常、団長がいて
総指揮を取るし、現場を任された
調査主任もいた筈なのに
発掘のイロハとも呼べる
「出土状況の確認・証明」が
曖昧にされている。
そうした意味で
彼の手によって取り上げられた
石器は負の証左としか
言いようがない。


(元考古学専攻生の回想)

考古学を専攻したからといって
将来が約束されるものではない。
よほど、スバ抜けた能力があれば
別だが、多くは先ず教授との師弟関係を
結ぶか、その教授のゼミなどに入って
認めてもらうことになる。
もう40年ほどの前のことなので
多分、今はだいぶ違うだろうとは
思うが、少なくとも40年前当時は
そうした雰囲気が少なからずあった。

やれ○○教授の発掘調査に参加した
やれ○○教授の飲み会に出て懇意に
なれたなど、一種のギルド社会なのである。

しかし、こうした涙ぐましい?努力が
すべて報われる訳ではない。

せいぜい残れて助手。
そうでなければ、とある博物館の学芸員または
教育委員会の職員。
能力があれば国立文化財研究所の職員。
若しくは大学院に進むことになる。

だが専攻生の半数以上は
考古学とは無縁の社会で
人生を送ることになる。

専攻生であって、こういう状態であれば
在野のアマチュア考古学者に
約束される未来はない。

「神の手」といった
禁じ手の温床は
長い間に歪んでつくられた
学会の体質そのものに
その遠因があるのかも知れない。


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行政書士 青木法務事務所HP
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Posted by 左近法務事務所 at 10:02
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