2011年05月01日

「曹源の一滴水」:高村光雲

「曹源の一滴水」:高村光雲

評論家、翻訳家、劇作家であった福田恒存は
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まだ使える物を捨てるのは
「残虐行為」だと言っています。

さて
中島光蔵は
仏教彫刻師になろうと志し
高村東雲を訪ねます。

東雲は何も言わずに
光蔵に井戸の水汲みを命じたのだそうです。

東雲は光蔵の動作を見て
やにわに彼を激しく罵って、退去を命じます。
傍で見ていた弟子たちが、彼を憐れんで
その夜は泊めてくれたのです。

夜半、光蔵は起こされて
東雲の前に通されます。

東雲は言葉静かに
「昼間、私が叱った理由がわからぬようだから
話そう。
仏像は人から拝まれるものである。
拝まれるものを作る人に
拝むこころがなくてはだめだ。
一杯の水といえども天地の賜物である。
然るに、お前の水汲みを見ると
こぼれても平気だ。
捨てて省みぬ人間に、仏像が彫れると思うか」
と諭したそうです。

中島光蔵。
のちの高村光雲であり
高村光太郎の父であります。





Posted by 左近法務事務所 at 17:52
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